女性活躍推進の最新情報・コラム

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ダイバーシティや女性活躍推進にまつわるコラムやインタビューを掲載しています。

第4回 女性リーダーに聞く(4)

女性リーダーに聞く(4) 
住友化学株式会社 ベクターコントロール事業部長  広岡敦子氏

皆さんは、「マラリア」がどんな病気か、ご存知ですか?
蚊を媒介とする伝染病で、日本ではかつては多くみられましたが、
20世紀半ばに撲滅されました。

しかし、諸外国に目を移すと、2010年時点でもサハラ以南の
アフリカを中心として、年間およそ66万人の人がマラリアによって
亡くなっているとのこと(WHO(世界保健機構)発行「World Malaria Report 2012」)。

犠牲者のほとんどは、5歳以下の子供であり、なんと1分間に一人が
命を落としていることになるそうです。

マラリアによる犠牲者はほとんどが子ども

そのマラリア防止のために、実は、住友化学が製造している
「蚊帳」が大活躍しています。今回、登場いただくのは、
そのマラリア予防用の防虫蚊帳「オリセット®ネット」を扱う
ベクターコントロール(※)事業部を率いる広岡敦子さんです。

広岡さんは、外資系企業から日系の大企業に転職されました。
第2回のセールスフォース・ドットコムの石井さんお勧めの
女性活躍のためのキャリアパターンとは逆になります。

しかし、広岡さんご自身は、日系企業だからといって、
女性が活躍しにくい組織に移ったという印象は持たれなかったそうです。

連載第2回、3回で、日本の大企業は、女性が活躍しにくい
特性を持っているという印象を持たれた方も多いと思いますが、
広岡さんの例を見ると、一概にそうは言えないようです。

では、日系企業が女性の活躍を推進する鍵はどこにあるのでしょうか?
広岡さんのお話からそのヒントを探りたいと思います。

※ベクターコントロール:媒介害虫制御

(文中一部敬称略)
広岡氏と

住友化学株式会社
ベクターコントロール事業部長
広岡敦子氏

(インタビュアー:
キャリアカウンセラー 朝生容子)

発想の転換で危機を乗り越える

広岡さんは、もともとドイツ系の外資系企業に勤めていらっしゃいましたが、
2006年に住友化学に転職されました。

比較的、男女差がなく、女性も活躍していると思われる外資系企業から、
日系の伝統的大企業に転職されることに抵抗はなかったのでしょうか。

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広岡:
「女性の活躍のしやすさということは、転職の際にほとんど意識しませんでした。
それより私は、住友化学のビジネスに関心が強く、転職を決めました。

もともと、住友化学とは競合に当たる会社に勤めていて、
オリセット®ネット』のユニークさに興味を持っていたのです。

そんなとき付き合いのあった住友化学の方から、新しいビジネスのために
人を探しているとお誘いを受けたのです。

ところが着任して早々、ビジネスの上では辛い時期を迎えることになります。
急激に需要が冷え込んでしまったのです。

需要の落ち込み

薬剤処理をした防虫蚊帳がマラリア予防に有効であることは、
WHOでも着目されていました。ただ、当初WHOは、防虫剤に
浸すタイプの蚊帳で普及を図ったのですが、手間がかかる上、
洗濯すると表面の薬剤が流れ落ち、防虫効果が長持ちしないので、
なかなか普及しませんでした。

『オリセット®ネット』は、防虫剤を樹脂製の繊維に練り込んでいるため、
洗濯などにより表面の薬剤が落ちても中から徐々に染み出し、
防虫効果が5年以上続く点が非常に画期的でした。

2001年にWHOから世界で初めて『長期残効蚊帳』としての効果を
認められ、使用が推奨されたこともあり、『オリセット®ネット』は
大変なブームを迎えたのです。


私が入社したのは、そんなブームがひと段落した頃でした。
WHOが当初の配布対象エリアとした地域には一通り防虫蚊帳が普及し、
需要にブレーキがかかったため、必要以上の在庫を抱えることに
なってしまったのです。

入社早々、会議に出ても在庫状況の説明をしなくてはならず、
非常に肩身の狭い思いをしました。でも、その分、時間があったので、
新しい会社での仕事のやり方を覚えようと発想を変えました。」

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転職して早々に、慣れない会社で厳しい局面にぶつかったものの、
それを決してネガティブ一辺倒に捉えず、別の能力を伸ばす機会と
捉えなおしているあたり、前向きでタフな広岡さんの一面が表れているように思います。

ちなみに、「オリセット®ネット」の事業は、その後、WHOが2009年からの
2年間で2.5億~3億張の防虫蚊帳を一気に配布する「ユニバーサル・カバレッジ」
という新方針をとったことが追い風となり、事業が拡大。

現在、「オリセット®ネット」は、タンザニア、中国、ベトナムで製造されており、
3カ所合計の生産能力は年間約6千万張にまでに至っているそうです。

女性の上司を持つ男性社員の抵抗感への対応という点でも、
広岡さんはうまく発想を転換して対処されてきました。

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広岡:
「働く女性が身近になってきたとはいえ、まだまだ上司に女性が着くというのは、
  男性にとって抵抗を覚えることかもしれません。ベテランの男性社員には、
 私が上司だからとがんばるのではなく、相手が詳しい分野は『教えてください』と
 謙虚に接する方が、仕事がスムーズに進むことが多いですね」

世界で活躍する女性たちをロールモデルに

広岡さんのお仕事は、海外出張も多く、大変ハードです。
私がキャリア・カウンセラーとして若い女性からよく受ける相談として、
「出張等が多くハードワークのため、家庭との両立ができそうもない。
もっとワークライフバランスとれるようにしたい」
というものがあります。

広岡さんご自身は、そうした悩みを持たれたことはなかったのでしょうか?

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広岡:
「そうした悩みを持ったことに心当たりがなくて…申し訳ないです。
私が携わっているユニセフや保健関連の業界は、比較的女性が
たくさん活躍している場でもあります。外国人女性には、海外出張を
普通にこなして活躍している女性が数多くいますから、私自身も
女性だからといって仕事をセーブしようという発想にはなりませんでした。

外国人女性は、日本人と比べて時間の使い方が上手なので、
そんな点でも、外国人女性に学ぶ点が多かったですね」

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あたりまえのように海外で活躍する自社以外の女性に数多く
出会うことで、働く心構えが固まっていった広岡さんの体験は、
日本企業や、そこで働く女性にとって示唆深く思えます。

最近、働く女性にロールモデルを示す必要性を認識し、
女性活躍推進のカギとして注目する企業が多くなっています。

一方で、自社内にはロールモデルとして活躍している女性が
まだ少なく、モデルを示せないという悩みもよく伺います。

しかし、社外に目を向ければ、モデルとなりうる人材も
少なからずいます。

社内にとどまらず、社外の人材と交流する場を設けることで、
ロールモデルと出会う機会も増えてくるはずです。

「時間の使い方は外国人女性の方が上手」という広岡さんの指摘も
興味深いところです。第3回に登場いただいたグロービスの君島さん
の研究にあったように、日本では、まだ残業する人材を高く評価する
風潮が根強くあるため、欧米などと比べると、時間の効率化が
進まない傾向にあるのかもしれません。

>> 今後の目標は、「外国人社員へのマネジメント力」と「女性部下のサポート」

連載各回タイトル

2013.5月  女性リーダーに聞く(1)  NTTコム チェオ 代表取締役社長 小林 洋子氏
2013.6月  女性リーダーに聞く(2) セールスフォース・ドットコム執行役員 石井早苗氏
2013.7月  女性リーダーに聞く(3) 株式会社グロービス ディレクター 君島朋子氏

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